山頭火の巻
 
 
 以前から何かと話題のこのお店。何でも今東京で一番人気のお店だそうだ。実はRB(ラーメンブラザーズ)は以前噂を聞きつけてこの店にわざわざやって来たが、午後8時の時点でもう売り切れ(RBは絶賛発売中)で食べられなかった苦い経験を持っていた。超多忙ではあるが、テレビっ子でもあるRBはテレビでよくこの「山頭火」のことを観ていて、(でも一番良く観てるのはフランス語会話)あたかもROCKファンがロンドンへ行くような気分で「山頭火」へ向かった。
  「山頭火」はまたもRB得意のオシャレエリア恵比寿にある。ファッションリーダーでもある我々はオシャレなショップにカフェやサロン(語尾上がり)を泣く泣くスルー(しかし目もくれず)して、その人気ラーメン店の前に立った。
  時は土曜日の午後3時半。「一体今何飯やねん?」とでも言いたくなるような時間帯にもかかわらず、店の前には「ラー博」並の長い行列が!せっかくここまで来たからには仕方ないと、列の一番後ろに並んだRBだが、店内は15人も座れば一杯になりそうな狭さで、一時間待ちは免れない状況である。
  いつも思うのだが、こういう場所には家族連れやカップルが多く、女も連れずヤロウ二人などで来ているのは超イケメンのRB(三十路)くらいのものである。
  「ここはまた一つ強がり&言い訳でも言うか」などと思った我々であるが、幸せそうな周りの状況及びなぜか飛び交うスワヒリ語にその士気も下がったのである。
  それにしても長い待ち時間。こんなに長い時間外で待っていたら、きっとシベリアだったら凍死していたであろう。ここは日本だったという幸運に感謝&全てのものにリスペクトのRBであるが、それでもまだ順番は来ない。サンダース林の坊主頭も角刈りになりそうな勢いである。
  そうこうしつつ一時間も待ったであろうか、やっと我々の番が来た。席についた他の客はかなり待たされたせいか、妙にガッつき、我先にと注文を告げ、結構高価な叉焼や煮卵、明太子ご飯など次々にオプションを付けていく。常に冷静沈着で自分をシッカリ持ち、周りに流されない強い意思を持ったRBのこと、そこは周りの客の注文などには目もくれず、いつものごとく注文は「ラーメン」のみであり、高価なオプションを付けないことと、家賃が月収の2/3ということとは、断じて何の関連性も無いのである。
  いよいよ待ちに待った噂のラーメンの登場である。何でもここのスープは“豚骨塩”らしい。見たところスープは豚骨だが、なるほど少し透明っぽい感じ。一口すすってみると、確かに豚骨味だが醤油など入ってないまさに“豚骨塩”スープ。しかしちょっと待て。豚骨ってよく考えたら何味?醤油?味噌?違うよなあ。豚骨は豚骨だよなあ。違う?まあトリガラでもそうだけど。要するに豚骨塩とか言うけど、豚骨って元々塩味でしょ?塩風豚骨ラーメンってとこか。豚骨塩って何?という疑問が我々の頭の中を青春のように駆け巡る。まあ理屈はいい。「遥かに新しい都会派のラーメン」なのかもしれない。何にしても美味いことは美味いが、「普通の豚骨スープの方がいいな〜」というのが本音である。
  具はオプションなど付けずとも叉焼もたくさん乗っていて十分豪華である(フン!)。良く見ると小さなカリカリ梅がひとつ乗っかっている。何でもこの梅干を食べるタイミングも重要だそうだ。我々はタイミングを逃すことなく(婚期は逃しそうだが)叉焼を2/3程食べ終わった時点で梅干を口へ投入。まんまと口内のリフレッシュに成功したのである(そんな大げさなものでもないが)。
  なんだかんだと言いながら、RBは一通りラーメンを楽しみ、残さず平らげて店を後にした。
  しかし全国花火協会の会長以上に辛口な我々はここでも満足はしなかった。正直期待した割にイマイチだったという感は否めない。「もっとこう、パンチが欲しかったな」などと、打たれ弱いボディーを棚に上げ、キイタフウナ口を叩くRB、“ハムスター殺し”の異名を取る心優しき30歳であった。


「山頭火」…★★★